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高齢者は若者よりも熱中症になりやすい



梅雨が明けると気温が上昇し、暑い夏が訪れます。
近年の夏は厳しい暑さが続いており、毎年熱中症で死亡する人も多くいらっしゃいます🐸
熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称で様々な症状が現れます。
これらの症状が現れた場合には、熱中症を発症した可能性があります。
いわゆる立ちくらみのこと。「熱失神」と呼ぶこともあります。
【筋肉痛・筋肉の硬直】
筋肉の「こむら返り」のこと。「熱痙攣」と呼ぶこともあります。
【大量の発汗】
体がぐったりする、力が入らない、など。従来「熱疲労」と言われていた状態です。
呼びかけや刺激への反応がおかしい、ガクガクと引きつけがある、真直ぐに歩けない、など。
【高体温】
体に触ると熱いという感触があります。従来「熱射病」などと言われていたものが相当します。
さらに、熱中症による死亡者の80%以上が65歳以上の高齢者という報告もあり、高齢者に対してはより一層注意が呼びかけられています。
しかし熱中症の注意喚起が行われているにもかかわらず、毎年必ず熱中症になる人はいます。
割合の多い高齢者は、若い世代のように屋外に出ることも少ないはずですが、なぜ熱中症になってしまうのでしょうか?
そこには、熱中症になる高齢者にみられる3つの特徴があります。
今回の記事は、その3つの特徴と対策について紹介させていただきます。
高齢者が熱中症になりやすい理由
高齢者が熱中症にかかりやすい理由として第一に、生理的な衰えがあります。
歳を重ね高齢となることで、若い世代と比べ体温調節機能が低下します。
それにより外気温が上昇しているにもかかわらず、体温を下げることができずに熱中症を引き起こしてしまうのです。
体温調節がうまくできなくなることによって起きるカラダの変化は以下のことが挙げられます。
暑いと感じにくくなる
ヒトは皮膚表在にある感覚受容器によって温度を察知することができます。
その受容器が暑さを感じることで、「暑い」という信号が脳の視床下部の体温調節する部分へ行き届き、そこからカラダの熱を放散するような命令を出します。
そうすることで、毛穴から汗を促したり、血管を広げて血液を巡らせたりすることで体温調節ができるのです。
しかし、高齢者となると皮膚の感覚受容器が鈍くなることで暑さを感じにくくなり、体温調節機能も衰えてしまいます。
高齢者が夏場過ごす部屋の室温は若者と比べて2〜3度ほど高いとの観察結果もあり、高齢者の過ごす室内は高温となっている可能性があります。
熱放散能力が落ちる
上記の通り、高齢者は温度を感じる機能が鈍くなっていることもあり、カラダの熱を放散するための能力が低下しています。
そのため熱が体内にたまりやすくなり、体温上昇を招きます。
さらに、血管が広がることで血流量が増加し、心臓などの循環器への負荷も大きくなります。
循環器系の疾患をお持ちの方や、機能が低下している高齢者には大きな負担となり、より熱中症にかかりやすくなってしまいます。
脱水症状を起こしやすくなっている
高齢者の体内では、若い世代と比較して体内の水分量が少なくなっています。
それにより、汗をかいて体内の水分が減少しているにもかかわらず、喉の渇きを感じにくい状態となります。
水分補給を怠ることで脱水症状を招き、熱中症になりやすくなってしまうのです。
熱中症になりやすい高齢者の3つの特徴
以上のことから、熱中症になりやすい高齢者には3つの特徴があります。
ご自身のご家族で当てはまるものがあった場合は要注意です。
❶エアコンを嫌って使用しない

高齢者はエアコンの冷たい風が苦手ということから、エアコンをつけたがらない方が多くいらっしゃいます。
エアコンを必ずしもつける必要はないですが、室内が30度を超えるほど暑くなっているにもかかわらずエアコンを使用していない環境は要注意です。
それにより、自覚しないうちに深部体温が上昇し、熱中症に陥ってしまうリスクが高まっています。
一昔前はエアコン無しで夏を過ごしていたとしても、近年では温暖化やヒートアイランド現象が進み、以前の夏の暑さとは変わってきています。
温度設定をしっかりしてあげてエアコンをうまく利用するようにしましょう。
エアコンは28度ほどの適切な温度設定にして、エアコンを積極的に使用してもらうようにしましょう。
❷日頃から運動不足

運動や外出する機会が減っている高齢者は代謝能力が低下し、熱を放散しにくいカラダとなってきます。
それにより暑さへの耐性が弱くなり、熱中症になりやすくなります。
普段から無理のない範囲での運動を意識し、活動的なカラダづくりをすることは熱中症対策にもとても重要なことです。
ご家族が運動不足の様子であれば、ラジオ体操や、お散歩などを日課にしてもらうなど、アドバイスをしてみましょう。
❸あまり水分・塩分を摂らない

上記している通り、高齢者は喉の渇きを感じにくくなっているため、自主的に水分補給をする方は少ないです。
発汗により水分や塩分を失っているにもかかわらず、補給を怠ることで水分・塩分が不足し、知らぬ間に重篤な熱中症を引き起こしてしまう可能性があります。
高齢なご家族には具体的な補給量を伝えて、積極的に水分・塩分を摂ってもらうようにしましょう。
周りの家族がサポートして熱中症を予防する

ご自身の力で、生活環境を整えることが難しい高齢者にとって、周りの家族からのサポートは必要不可欠となります。
熱中症対策においても、周りのご家族が適切なサポートをすることで、高齢者の助けとなります。
エアコンを嫌う高齢者への対応
エアコンを嫌がる高齢者の場合、温度管理を促してくれる人が同居しているのであれば心配いりませんが、高齢者夫婦の世帯や一人暮らし高齢者の場合、気温が上がり室内が暑くなってもエアコンを使用せずに過ごしてしまう可能性が高いです。
そういった離れて暮らす高齢者家族には、温・湿度計などを部屋に置いてあげ意識を変えてあげる必要があります。
熱中症指数を表示してくれる温・湿度計もあるので、視覚的に注意を促すことができ、おすすめです。
おすすめの温・湿度計はこちらクレセル製の温・湿度計です。

この温・湿度計は画面の数値だけでなく、熱中症の危険がある数値となるとブザーや光によって警告してくれる機能が付いています。
温・湿度計の警告音が鳴ったらエアコンをつけるようにアドバイスすると、高齢者にもわかりやすく良いと思います。
値段も安価なのでおすすめです。
運動不足を解消する
高齢者の運動不足はある程度仕方がないことなので、無理に運動を促すようなことはいけません。帰って反発され逆効果となることもあります。
しかし、鈍くなった体温調節機能を呼び起こすためには運動が必要でもあります。
端的に運動を促したところで、継続して運動をすることは若い世代でも中々できないことですし、ましてや高齢者にとっては余計大変なことです。
運動を勧めて納得を得るために大切なポイントは、運動がいかにカラダの健康にとって重要であるかを説明してあげることです。
熱中症予防だけでなく、骨密度を落とさないためにも、関節の痛みを楽にするためにも、認知症を予防するためにも、運動や体操をして筋肉を刺激することが大切であるということを丁寧に伝えましょう。
そうすればきっと、意識が変わるはずです。
ラジオ体操やウォーキングの勧めも良いですが、介護認定を受けている高齢者であれば、しっかりとしたリハビリ体操ができるデイサービスへ通ってもらうのも良いでしょう。
しっかりと水分補給をしてもらう
高齢者が水分を摂りたがらない一つの理由として、トイレの問題があります。
トイレが近い高齢者は、水分を摂ることでトイレの回数が余計に増えてしまうことを警戒します。
さらに、高齢者は利尿作用のあるお茶を好んで飲むため、余計に尿意をもたらしています。
それらを考慮し、水分補給にはお茶ではなく、OS-1、ポカリなどの塩分を含んだ経口補水液を勧めましょう。

摂取量の目安は高齢者で1日500ml〜1,000mlとなっています。
その計算であれば、一人当たり一ヶ月で2箱ほどの消費となりますので、ドラックストアでも購入できますが、配送してもらえて安く買えるAmazonなどでの購入がおすすめです。
まとめ


是非、高齢者の熱中症対策の参考にしていただければと思います。